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1on1が形骸化するのは、実施することが目的になったから
導入したときは熱心だった1on1が、半年で近況報告とリスケジュールの繰り返しになる。原因は上司の熱意ではなく、数えるものを実施回数にしたことにあります。立て直すために決め直す三つと、やめるときの判断を整理しました。
1on1を制度として入れた最初の数か月は、たいていうまくいきます。上司は研修で聞いた問いかけを試し、部下も何を話そうかと考えてから来ます。ところが半年ほど経つと、様子が変わってきます。近況を聞いて十分で終わる。直前に「今週は飛ばしましょう」と流れる。人事の会議では「今月の実施率は八割でした」と報告される。
現場からは「意味がない」という声が出はじめ、やめるかどうかの話になります。ただ、多くの場合、壊れているのは1on1という形ではありません。
実施率を数えた時点で、目的が入れ替わる
制度にしたものは、測りたくなります。そして1on1で測りやすいのは、やったかどうかだけです。話した中身は測れません。
実施率が報告される場に出るようになると、上司にとっての1on1は「やっておくもの」になります。三十分の枠を入れ、何かを話し、記録に丸を付ける。手を抜いているわけではなく、求められているものに正しく応えています。部下の側も、それが上司の宿題であることにすぐ気づきます。
週報が「出したかどうか」の管理になって形骸化するのと、同じ形です。数えるものを回数にすれば、回数は満たされ、中身は抜けていきます。
部下の時間が、上司の確認の時間になる
形骸化した1on1に、もうひとつよく見られる姿があります。気づけば、上司が進捗を聞く時間になっていることです。
話すことが決まっていないまま向かい合うと、上司は手元にある話題、つまり仕事の進み具合を聞きはじめます。聞かれた部下は報告します。三十分の報告会が終わったあと、部下には「これなら定例で足りた」という感想だけが残ります。「意味がない」の正体は、たいていこれです。
立て直すために、決め直す三つ
やめる前に、次の三つを決め直す価値があります。どれも、道具や研修を入れなくても来月から変えられます。
誰の時間なのかを決め直す。1on1は部下の時間で、議題は部下が持ってくる、と言葉にして伝えます。持ってこなかった日は、短く終わってかまいません。上司が話題を用意しはじめた時点で、時間の持ち主が入れ替わります。
進捗の話を、別の場所へ移す。進み具合は、文字で足ります。毎週の短い記録があれば、1on1で聞く必要はなくなり、話題に困ったときは四週間ぶんの記録が手がかりになります。1on1に残るのは、文字では決まらないことだけです。
実施率ではなく、流れた理由を見る。見る数字を一つ持つなら、何回やったかではなく、誰の都合で流れたかです。上司の都合で流れる月が続くなら、直すべきは1on1の進め方ではなく、上司の時間の使い方のほうです。
やめる、という選択
決め直しても合わない人はいます。話すことで考えがまとまる人もいれば、書くことでまとまる人もいます。全員に同じ頻度を求める必要はありません。月に一度を望む人とは続け、そうでない人とは、本人が頼んだときだけにする。それで足りる組織も多いはずです。
ただし、やめるときに気をつけたいことがあります。代わりに何が毎週の接点になるのかを決めずにやめると、部下から見れば、何も返ってこない状態がまた一つ増えるだけです。黙ってなくなるのが、いちばん悪いやめ方です。
制度を入れた側にできること
人事や経営の側にできることは、現場の上司にできることより少なく、そのぶん効きます。
まず、実施率を報告させるのをやめます。数えることをやめれば、上司は丸を付けるために枠を入れなくなります。次に、上司の時間を空けます。自分の数字を追いながら部下を見ているプレイングマネージャーに、月に数時間の対話を足すなら、何かを引く必要があります。最後に、上司自身も1on1を受けます。受けたことのない人に、良い1on1は開けません。
とどく週報AIのこと
私たちが作っているとどく週報AIは、毎週の文字の側を引き受けます。三つの問いに答えると、経営方針・チームの目標・リーダーから本人へのメッセージに照らしたことばが、その人に返ります。進捗の確認を1on1から外し、文字では決まらないことに時間を使うための道具です。一人につき月800円、最初の1か月は無料で試せます。
ただ、ここに書いた三つは、道具を入れなくても来月の1on1から変えられます。まずは、次の回の議題を部下に預けるところから始めてみてください。