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経営方針は、朝礼で唱えても浸透しない

方針を掲げ、額に入れ、全社集会で説明した。半年後、言葉は覚えられているのに判断は変わっていない。覚えることと使えることは別で、その間を埋められるのは一人ひとりの仕事の側だけです。

方針を言葉にし、額に入れ、朝礼で唱え、全社集会で背景まで説明した。それでも半年後に現場の判断を見ると、何も変わっていない。言葉は覚えられているのに、仕事の決め方は前のままです。

こういうとき、たいてい次に出てくるのは「伝え方を変えよう」という話です。動画にする、ポスターを刷る、唱和の回数を増やす。ただ、止まっているのは伝えるところではありません。

覚えていることと、使えることは違う

方針が浸透している状態とは、全員が暗唱できる状態のことではありません。判断に迷ったときに、その言葉が基準として出てくる状態のことです。

暗唱は、聞く回数を増やせば成立します。基準として使えるようになるには、それが自分の仕事のどの場面に当たるのかを、一度は自分で考えておく必要があります。この二つは別のことで、前者をいくら積んでも後者にはなりません。

翻訳は、本人にしかできない

「お客様第一」という一行は、営業の人と、経理の人と、現場で物を作っている人とでは、まったく違う行動を指します。誰かが代表して翻訳しておくことはできません。自分の持ち場の言葉に直す作業は、その持ち場にいる人にしかできないからです。

伝える側にできるのは、翻訳そのものではなく、翻訳が起きる場をつくることまでです。そして、その場は全社集会ではありません。全員に向けた言葉は、誰の仕事にも当てはまるように抽象化されています。抽象的なままの言葉は、翻訳の手がかりになりません。

翻訳が起きる場所は、週に一度ある

一人ひとりの具体的な仕事が、本人の言葉で並ぶ場所は、多くの組織でひとつしかありません。週報です。返す一言を書くとき、次の三つを意識すると、そこが翻訳の場になります。

その週の仕事と、方針の言葉をつなげて返す。「お客様第一ですね」では届きません。「先方の希望より先に、現場が回るかを確かめにいった。あれが〈お客様第一〉で言っているところです」。本人がやったことの側から言うと、言葉が自分の仕事に紐づきます。

迷ったときの基準として出す。うまくいかなかったことの欄に、判断に迷った跡が書かれていることがあります。そこへ「迷ったときは〈早く見せる〉のほうを採ってください」と返すと、方針は掲示物から道具に変わります。次に同じ場面が来たとき、聞かなくても決められます。

合っていないときにも、そう言う。方針に沿った仕事だけを拾って褒めていると、沿っていない仕事は「触れられなかったもの」として残り、本人にはどちらでもよいことに見えます。ずれているなら、責めずに、ずれていると伝えるところまでが要ります。

二十人に一度より、一人に二十度

全社に向けて一度話すほうが、手間は圧倒的に少なくて済みます。ただ、届く量でいえば、二十人それぞれに一度ずつ違う言い方で返すほうが多い。方針の浸透が進まない組織の多くは、伝える努力が足りないのではなく、安いほうの手段だけを繰り返しているのだと思います。

浸透しているかは、どこで分かるか

唱和では分かりません。見るべきなのは、本人が自分の判断を説明するときに、方針の言葉が出てくるかどうかです。

週報の「なぜそうしたか」にその言葉が現れはじめたら、翻訳は済んでいます。逆に、何か月経っても一度も出てこないなら、伝え方ではなく、返す側の仕組みを見直すほうが早いはずです。

方針を変えたときこそ

見落とされやすいのが、方針を変えたときです。掲示物と資料は差し替えられますが、現場の判断は前の方針のまま動き続けます。翻訳をやり直していないからです。

変えた直後の数週間、返すことばを新しい方針に寄せておくと、ここは短く済みます。いちばん手間をかける価値があるのは、この時期です。

とどく週報AIのこと

私たちが作っているとどく週報AIは、この翻訳のところを引き受けます。本人が書いた三つの答えに対して、経営方針・チームの目標・リーダーから本人へのメッセージに照らしたことばが、その人の今週の仕事の言葉で返ります。一人につき月800円、最初の1か月は無料で試せます。

ただ、ここに書いた三つは、道具を入れなくても今週の返信から試せます。全社に向けてもう一度話す前に、一人分だけ書いてみてください。