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リモートで部下の様子が分からないのは、通りがかりが無くなったから

仕事は回っているのに、部下が何に困っているのか分からない。リモートワークで失われたのは仕事を見る手段ではなく、通りがかりに様子が目に入る機会です。見張らずに困りごとを届けてもらうために、先に決めておくことを整理しました。

「在宅勤務になってから、部下が何に困っているのか分からなくなった」。リモートワークを続けている会社のリーダーから、よく聞く言葉です。仕事は回っていて、締切も守られている。それでも、オフィスにいた頃の手応えがありません。

不安になって在席の表示をこまめに確かめたり、毎朝のオンライン会議を増やしたりしても、分からなさは消えません。

オフィスで見えていたのは、仕事ではなかった

オフィスにいた頃も、リーダーは部下の仕事を一日中見ていたわけではありません。見えていたのは、もっと細かいものです。電話を切ったあとのため息。昼食から戻るのが遅い日。隣の席へ何度も質問しに行く姿。

どれも、見ようとして見たものではありません。席の横を通りがかったときに、たまたま目に入ったものです。「ちょっといい?」と声をかけるきっかけも、たいていはこの通りがかりから生まれていました。

リモートワークで失われたのは、この通りがかりです。仕事そのものは、画面越しでも十分に見えています。

見張っても、様子は映らない

通りがかりを失った不安は、見る量を増やす方向に向かいがちです。在席状況の記録、作業ログ、つけっぱなしのカメラ。

ところが、こうした仕組みに映るのは「動いているかどうか」です。「困っているかどうか」は映りません。キーボードを打ち続けている人が、行き詰まっていないとは限りません。

しかも、見られていると分かった人は、見られて困ることを表に出さなくなります。在席の印を緑に保ち、カメラの前では平気な顔をする。見る量を増やすほど、見えるのは整えた姿だけになります。

雑談の時間を作っても、届かない理由

よく勧められるのは、会議の最初の五分を雑談に使うことです。場をほぐす効果はあります。ただ、五人、十人が並ぶ画面の前で「最近困っていることは」と聞かれて、本当に困っていることを話せる人は多くありません。

大勢の前で話せるのは、話しても困らないことだけです。困りごとは一対一でしか出てきません。オフィスの通りがかりが効いていたのも、それが一対一だったからです。

通りがかりの代わりを、決まった形で置く

目に入らなくなったものは、本人に言葉にしてもらうほかありません。ただし「何かあったら言ってね」では足りません。何かあるときほど、人は言い出しにくいからです。言い出す場所と順番を、先に決めておきます。

様子を書く欄を、毎週ひとつ置く。進み具合ではなく、うまくいかなかったことを書く欄です。今週やったこと、うまくいかなかったこと、来週やること。問いは三つで足ります。オフィスなら顔に出ていたことが、ここに出ます。

読む人と、使い道を先に伝える。誰が読むのか、何には使わないのか。直属のリーダーだけが読み、評価には使わない。書きはじめる前にそれを伝えておかないと、この欄も在席の印と同じく、整えたものになります。

一つにだけ、文字で返す。書いたものに何も返ってこなければ、二、三週で欄は空になります。全部に返す必要はありません。気になった一つに一言返し、話したほうがよさそうなときだけ「十五分いいですか」と声をかけます。これが、通りがかりの「ちょっといい?」の代わりです。

不安なのは、リーダーの側でもある

見落とされがちなことがもうひとつあります。様子が分からなくて不安なのは、リーダーも同じです。部下がきちんと働いているかが不安で、確認を増やす。確認が増えた部下は、信用されていないと感じる。お互いの不安が、お互いを遠ざけます。

「成果で見ればよい」という助言は、半分だけ正しいと思います。成果は遅れて出ます。困りごとは、成果に出る前に起きています。成果で評価し、様子は言葉で聞く。この二つを分けておけば、確認を増やさずに済みます。

出社に戻すかどうかの前に

様子が分からないことを理由に、出社に戻す会社もあります。ただ、オフィスに戻っても、通りがかりが自然に戻るとは限りません。会議が続き、席が離れていれば、同じ部屋にいても目に入らない人はいます。

働く場所がどこであっても、困りごとが小さいうちに届く道を一本、決まった形で持っておく。リモートワークは、その道をもともと持っていなかったことに気づかせただけなのかもしれません。

とどく週報AIのこと

私たちが作っているとどく週報AIは、毎週の文字を受け取って返すところを引き受けます。三つの問いに答えると、経営方針・チームの目標・リーダーから本人へのメッセージに照らしたことばが、その人に返ります。うまくいかなかったことの中に退職や心身の不調の兆しが読み取れたときは、直属のリーダーにだけメモが届き、そのまた上には渡りません。在席や作業の記録は取りません。一人につき月800円、最初の1か月は無料で試せます。

ただ、様子を書く欄を一つ置いて、読む人と使い道を伝えるところまでは、道具がなくても来週から始められます。